This is us
「そんな顔って何だよ…」
独り言のように言葉を落とす。
「…切ない顔。今に泣き出しそうなくらいね」
それを聞いて弾かれたように顔を上げた。
燃えるように赤い空が、少しだけ目に染みる。
なつめは意地悪に微笑んでいて。
「なんで認めない?さとりちゃんが好きだって」
そう言って思い切り俺の背中を叩いた。
「認めるも何も、好きじゃないし」
熱を帯びた頬を、秋の爽やかな風が撫でていく。
「頑固だなあ。ったく、見ててこっちがイライラする」
「勝手にしてろよ」
「くーっ!ムカつく奴」
何を根拠に、なつめがそう言うのか俺には分からなかった。
そもそも小田切に対してそんな感情持っていないのに。
そう考えているうちに、あっという間に文化祭がやって来た。
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