This is us



「よっ、蓮ちゃん」


「………」


「えぇーっシカト?ねぇシカト?!」



いつも以上に機嫌が悪い俺と、いつも以上に機嫌が良い佐々木。


「蓮ちゃ〜んっ」



下駄箱から教室までの道のりを、佐々木がギャーギャー騒ぎながら俺の後をついて来る。


佐々木の声はよく通るから、それを聞きつけて女が群がってくるのがめんどくさい。


せめて今日という一番めんどくさい日は、本当に放っといて欲しいのに。


「結城くーん!」


話しかけてくるな。


「今日もヤバイカッコイイ〜」


「結城くんに絶対投票するから!」


本当に。


溜息しか出てこない。


飾り付けされた七色の教室の隅で、どんどん気が重くなっていくのを感じた。


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