This is us


数日前の練習中に足を捻った先輩は、ドクターストップがかかっていた。


けれど、次の大会は先輩達にとって最後の大会。

ちょうど五人いる先輩は、全員団体メンバーで。


私達二年は補欠として一緒に練習していた。


「でも…」


「さとり、私からもお願い!」


いつの間に、先生の隣には前田先輩がいて。

二人して私に頭を下げている。


「ちょっ…頭上げて下さい」


私は慌てて二人を制した。
先輩がどんな思いで頭を下げているのか…そう思うと、鼻の奥がつんと痛くなる。


「あの…私でいいなら、よろしくお願いすます」


あ、やば。噛んだ…


かぁっと全身の血液が顔に集中して、汗がじんわりと滲んだ。


案の定、顔を上げて二人を見れば、今にも笑い出しそうになっているのを必死で噛み殺していて。


「ぷっ、やっぱりさとりって面白い」


堪えきれず、前田先輩が眩しいくらいに笑った。


「ほんと小田切は肝心なとこでヘマするんだから」


「す、すみません」


私なんかでいいのだろうか。

心臓がふわふわと飛んで行ってしまいそうに、緊張が巣作う。


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