This is us
彼の腕の中にすっぽり収まった私の身体。
頭の中が真っ白で。
加速していく鼓動さえ、遠い。
ふわりと香る彼の優しい匂いと、温かい腕に不思議な位安心した。
「もう、大丈夫だから」
耳元で彼が呟く。
その言葉に、より一層涙が増していく。
ねぇ、好きって言ってしまいたい。
好きで好きでどうしようもないの。
「…うん」
そんなに優しくされたら…
期待しちゃうよ。
「…気をつけろよ、お前騙されやすそうだし」
ゆっくりと身体が離れて、間近で目が合う。
思わず見とれてしまって、彼は眉間にシワを寄せた。
途端にかあっと顔が熱くなる。
「あ…あの、その…本当にありがとう」
「あぁ…」
二人で屋上を後にすると、入口のところでうちの学校の男子生徒が、ニヤニヤして立っていた。
「あ」
私が一人で焦っていると、結城くんが短く言葉を落とす。
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