This is us
「とにかく無理」
「結城くん無責任過ぎる!」
何とでも言えばいい。
俺は、自分の気持ちに気付いたんだ。
初めて、誰かに特別な感情を抱いた。
もう適当になんて生きられない。
「…結城くんって、小田切さんの何なの?」
「は?」
行こうとした所で、低い声が背中に伝った。
「聞いた話によればその傷、小田切さん庇って出来たんだって?」
なんだ、もう知られてるのか。
「別に。ただ困ってそうだから助けただけ」
振り向かず短くそう答えると、もうそれ以上本川は何も言わなかった。
本当は、違う。
あれは本能だった。
男に乱暴されそうになっていた事や、震えている小田切を見た時。
守りたい、そう思った。
俺と本川の会話を、彼女に聞かれていたなんて知らずに…。
俺達はどうしてそんなに遠回りしてばかりなんだろうって。
ふと振り返った時に、いつも思う。
自分を偽る事は、誰かの為でも自分の為でもなかったんだ。
結局、偽りは偽りでしかないんだって…
あの頃の俺は浅はかだったと、強く思う。
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