This is us


文化祭が終わってすぐにテスト期間に入り、いつも通りの日々を送っていた。


テストが終わると部活も始まり、私の放課後は再び部活中心になって。


段々と秋も深まり、屋上から見える景色が黄色や赤に染まっていく。


少し気になるのは、廊下でたまにすれ違う本川さんに睨まれる事。


きっと私のせいで文化祭が台なしになってしまったから、恨んでいるのだろう。

「あ、さとり!また掃除サボったな」



屋上でぼーっと景色を眺めていると、優花の声が背中で響いた。


「…どした?」



振り返った私に、優花が首を傾げる。


「ううん。ぼおーっとしてた」


手摺りから手を離して優花へ一歩歩み寄った。


「最近元気ないような気がするのはあたしだけ?」


「優花だけかもよ〜?」


私はヘラッと笑いながら、優花の脇腹を擽る。


「こらっ、人が真面目に話してるのに」


大丈夫なフリをするのって、すごく大変なんだ。


本当はね、友達に言って慰めてもらいたい。


でもそうしたら余計苦しくて、忘れられない気がしたんだ。


ごめんね、優花。


「部活行こうっ?」


「あ、さとり待ってよ〜」

この恋は、胸の奥にしまってしまおう。


そう決めたんだ…――


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