This is us



「なんかさ、文化祭の時に佐々木って奴が結城の写真売ってたんだって」


「へぇ、そうなんだ」



マットの上で柔軟しながら、優花がニヤッと笑う。


佐々木くんって、あの猿みたいな彼の友達だったっけ…。


きっと彼に相当怒られたんだろうな。


「あれ?興味ない感じ?」

「う〜ん。まぁないっちゃないけど」


「なあんだ。さとり帰った後、なっちゃんと買っちゃったのに!」


にぃっと笑う優花に、私は目を丸くした。



「欲しいでしょ?」


「う…いや…」


「欲しいくせに〜!後であげるから」


いらないとも欲しいとも言えずに、結局貰ってしまった。


一枚目は遠くを見ている横顔。


もう一枚は、全身が写った正面からの写真。


恥ずかしくてこんなにじっくり顔を見たことはなかったけれど、やっぱりすごく綺麗な顔…。



会いたいとか話したいとか…そんな感情が一気に押し寄せてきて、私は隠すように生徒手帳の中に入れた。

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