This is us



いけないいけない。


首をふるふると横に振って、シャーペンを握り直す。


テストが赤点だった私は、明日追試だったりして。


教科書やプリントが散らばる机に向かってみるものの、全く理解出来ずに。


結局そのまま追試を迎えた。



「あーっわっかんない…」


「そこはね…」


なっちゃんが休み時間に一生懸命説明してくれる。


「さとり、大丈夫?」


「私の少ない脳みそじゃ無理かも!」


「あ〜さとちゃん、また間違ってる!」



なっちゃんが消しゴムで容赦なく、私の解答を消した。


それを見て優花はプッと吹き出す。


「これ基礎中の基礎だし!」


「無理無理〜!ちょっとジュース買ってくる」


そう言って席を立つ私に、二人は口々に文句を言っていたけれど。


聞こえないフリをして廊下へ出た。


この廊下の先の踊り場に、自動販売機がある。


財布をギュッと握りしめる手が、強まった。


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