This is us
正面から結城くんと佐々木くんが歩いてきている。
廊下にいた女の子達が、キャーキャー騒ぎ出した。
近い距離でバチッと目が合った私は、咄嗟に回れ右をして自分の教室へと逃げ込む。
心臓はまだ、ドクドクと鳴っている…。
「あれ?さとり」
「ジュースは?」
教室の入口で立ち尽くす私に、優花となっちゃんがキョトンとした。
「あ〜…お金なくて買えなかった、あはは」
「どんだけ!あたし貸そうか?」
優花が鞄から財布を取り出そうとしたけれど、私は大丈夫!っと断る。
「飲みたいのなかったしさ」
もう、関わらないんだ。
好きだなんて、思わないんだ。
初めから相手にされるわけないって、分かってるのにね。
君はどこまでも、皆の目を引く注目の的。
私なんて、ただの平凡な女だもの。
それは、肌寒くなった空気のようにピリピリと心を突き刺して。
対称的に、瞳の奥がぐっと熱くなった。
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