This is us



今さっき。


廊下ですれ違う寸前、急に方向転換して女子トイレへと入っていった。



「あの…蓮ちゃん?」



「何?」


「ま…まさかとは思うけどさ…」



佐々木が口ごもりながら、周りにチラチラ視線を配りつつ言う。



「女子トイレ入る気…?」


「…っ」



佐々木に言われて、はっとした。


立ち止まって見つめていたのは、小田切が入っていった女子トイレの前。



「ばっ馬鹿!ちげぇよ」



慌てて歩き出す俺に、佐々木はゲラゲラ笑いながら追いかけてくる。



「ちょっと待ってよ、蓮ちゃん」



顔に熱が集中していく。


「どうしたんだよ〜?」



佐々木の問いに答える余裕なんてない。



「蓮ぴょ〜ん?」



「…るせぇよ」



今も尚笑い続けている佐々木に、いい加減嫌気がさしてきた。


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