This is us
「れーんー!」
教室の入口に、なつめが立っている。
「あ、原さんじゃん」
佐々木が嬉しそうに手を振り返した。
「傘忘れた〜」
それは、つまり一緒に帰ろうって事。
「突然降ってきたもんね?」
佐々木が窓の外を眺めながら、降り止みそうにない空に溜息を吐いた。
「俺が傘なんて持ってると思う?」
「え、また盗まれたの?」
傘なんて、毎回パクられている。
こないだはジャージが無くなっていたし。
女子達のストーカーじみた行為は、未だなくならない。
「そういう事」
「ちっ。あ、今日夕飯食べ行くからよろしく〜」
あっさり手を振りながら教室を出ていくなつめを、ポカンとしたまま佐々木が見つめていた。
「原さんて…可愛いな…」
「は?」
思いっ切り眉を潜める俺に、佐々木がニヤニヤと頬を緩ませる。
「ほら、恋に落ちる秋ってよく言うじゃん?」
「………」
「ねぇ〜蓮ちゃ〜ん!」
無視。
もういちいち付き合ってられねぇ…。
適当に佐々木をかわして、下駄箱へ向かう。
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