This is us
「ち…の…。違うの…」
「え?」
「結城くんが…私に何かしたとかじゃ、ないんだ」
あぁ…そっか。
俺と一緒にいるせいで、なつめみたいに何かされたのかもしれない…。
「俺…迷惑かけてる…?」
「ううん…。どうして結城くんは私なんかに構うの…?」
俺を見上げた彼女の瞳に、うっすらと涙が滲んでいた。
構う…?
俺は…
「それが、迷惑だったって事…?」
彼女から視線を逸らして、前を見る。
もうすぐ、マンションに到着するところだった。
「迷惑だなんて、思ってない…ただ、理由が知りたい」
「理由…」
それは…
彼女を特別だと思っているから…。
震えるその肩を、抱きしめたいと思うから…
頬に伝う、雨に似た涙がひどく胸を絞める。
「理由は…お前が…」
ごくりと唾を飲み込んだ。
好きだから…――
そう心で繰り返した時、もう止められないって思った。
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