This is us
「じゃあ…また」
「うん、送ってくれてありがとう」
ピンクの傘をさして歩いていく彼に、違和感を感じるけれど。
見えなくなるまで、マンションのエントランスからずっと見送った。
これは、夢じゃないんだよね…。
信じられなくて、何度も自分の頬を抓った。
これからどうなっちゃうんだろう…。
結局考え事ばかりしていて、夜はちっとも寝られなかった。
「おはよ、さとり」
「うわっ!お、おはよ」
下駄箱で優花に肩を叩かれた。
「何そんなにビックリする事?」
私のリアクションに、優花がクスクス笑う。
「ちち違うよ、普通にビックリしただけ」
「噛みすぎだし!」
頭がぼんやりしちゃって、周りの音が全く聞こえていませんでした…と言えなく、はははと笑った。
どうしよう、優花に報告するべきか。
「…ん?どうした?」
優花をじっと見つめていたせいか、不思議そうに優花が首を傾げる。
「あのね…話があるんだけど」
「え〜なになに?」
「ちょっと屋上行こう」
誰にも聞かれないように、優花を屋上へと連れ出した。
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