This is us


「じゃあ…また」


「うん、送ってくれてありがとう」



ピンクの傘をさして歩いていく彼に、違和感を感じるけれど。


見えなくなるまで、マンションのエントランスからずっと見送った。



これは、夢じゃないんだよね…。


信じられなくて、何度も自分の頬を抓った。


これからどうなっちゃうんだろう…。


結局考え事ばかりしていて、夜はちっとも寝られなかった。



「おはよ、さとり」


「うわっ!お、おはよ」



下駄箱で優花に肩を叩かれた。


「何そんなにビックリする事?」



私のリアクションに、優花がクスクス笑う。


「ちち違うよ、普通にビックリしただけ」


「噛みすぎだし!」



頭がぼんやりしちゃって、周りの音が全く聞こえていませんでした…と言えなく、はははと笑った。


どうしよう、優花に報告するべきか。


「…ん?どうした?」



優花をじっと見つめていたせいか、不思議そうに優花が首を傾げる。



「あのね…話があるんだけど」


「え〜なになに?」


「ちょっと屋上行こう」


誰にも聞かれないように、優花を屋上へと連れ出した。
.
< 181 / 388 >

この作品をシェア

pagetop