This is us

Side Ren




帰り道、何度も思い返す。

今までに感じたことのない幸せと、予想外の出来事に胸が震える。


まさか、彼女も同じ気持ちだったなんて考えていなかった。



「あ、おかえり」


玄関でなつめが出迎えた。


「来てたんだ」


「学校で言ったじゃ〜ん!今日行くって」


そう言ってなつめは、わざと頬を膨らませる。


「あ、その傘誰の?」



閉じたピンクの傘を指差した。


「あぁ、借りた」


「だーれーに?」


「誰だっていいだろ」


「ケチー!」


俺はそのまま階段を上がって、自分の部屋へ入った。


なんとなくなつめには、知られたくない。



スウェットに着替えて、携帯を開いた。


連絡先は交換したものの、何てメールしていいのか分からず。


結局なつめに夕飯が出来たと呼ばれて、そのままポケットへとしまった。


.
< 184 / 388 >

この作品をシェア

pagetop