This is us
「ねんにゃんにょさあ…」
「欠伸したまま喋るな」
「ごめんごめん。蓮ちゃんの姉ちゃんテレビ出てたねっ」
目を擦りながら、佐々木がニカッと笑う。
「あ〜…多分」
「何だよ多分って。俺は確かに見たぞ」
「全然顔合わせてないからさ」
サインをもらう体勢をとっている佐々木は、ガックリと肩を落とした。
「そっかそっか。…それより蓮ちゃん、さっきからそわそわしてない?」
急に真面目な顔で、まじまじと俺を覗き込んできて。
俺は面を喰らった。
「…そうか?」
「おう、すごい挙動不審」
逃れるように背を向けて、教室へと向かって行く。
すれ違う女子がキャーキャーと騒ぎ立てる声に、いつも以上にイライラした。
「蓮ちゃ〜ん?」
机に深く腰を下ろした俺に、佐々木は不思議そうな顔のままで。
「…いや、何て言うか…」
「ん?何?」
「お前、絶対絶対誰にも言うなよ?」
佐々木は上下に黙って首を振る。
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