This is us



俺は、ずっと幽霊部員だったサッカー部を退部することにした。


部長や部員達は引き止める事もなく、むしろ喜んでいるように見える。



「何が受験勉強に専念したいだよ」


「女遊びの専念だろ」



そう言ってケラケラと笑い合う奴らに、目もくれず。


悲しそうに俺を見つめる佐々木に、「頑張れよ」と声をかけて立ち去った。



日が落ちる時間も早まり、辺りはすっかり暗くなってしまっている。


俺は自然と、校庭から体育館裏へと足を運んだ。



彼女と初めて出逢ったこの場所は、緑が生い茂っていたけれど。


今はすっかり葉が落ちて、茶色い絨毯を広げたみたいだ。



懐かしい…


パリッと音を奏でる落葉の感触を、靴の裏で感じながら。


ゆっくりと体育館に近付いた。


中は、ちょうど新体操部とバレー部が半々で練習をしている。


あいつは、部活が好きだな。


仲間と楽しそうに笑いながら、体を動かす彼女を見つけて。


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