This is us



『一人でも結城くんの事を理解してくれる人がいたら、きっともっと楽に生きられるよ』



ふと彼女に夏祭りで言われた一言を思い出した。


あの時、自分を理解しているのは自分でいいと思っていた。


けれど、例えば彼女だったり

佐々木だったりしたらいい。


なんて少しずつ、考え方が変わり出している。



そうしたら、彼女の一番の理解者が俺であったらどんなに幸せだろう…。



お前を好きになって、そう思える自分になれた。



小田切を見ていると、すごくすごく不思議な気持ちになる。



温かくて、優しい。


今まで熱など持った事のない心に、火を燈してくれるような。





「お疲れ様でした〜」



そんな声に、ハッとして腕時計に視線を落とした。


もうこんな時間か。



いつの間に寝ていたのか、時刻は18時を過ぎていた。

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