This is us
Side Satori
あれから毎日、結城くんは私が部活を終えるのを待って一緒に帰ってくれるようになった。
“彼氏”。
彼の存在をそう呼ぶにはまだ少し違和感を感じてしまうけれど。
しっかりと繋いでいてくれる手の温かさが、何より幸せで。
私の日常が、ガラリと色を変えて美しく輝いた。
「順調なの?」
「え?あ、うん。まあ…」
昨日の帰りを思い出してニヤニヤしていた私は、慌てて優花の方に瞳を向けた。
「ニヤニヤしちゃって〜!少しくらいノロケたら?」
そう言って肘で私を突く。
「ノロケって言われてもなぁ…明日出かける予定だけれど」
「キャー初デートじゃ〜ん!」
「わわわわっ声でかいってば」
部活中に優花がキャーキャー騒ぎ出して、私はしーっと人差し指を立てた。
一瞬、皆が私達を見たけれど苦笑いでその場をやり過ごす。
「はは、本当幸せそうで何より」
優花は全く気にせずに、ポンポンと私の背中を叩いた。
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