This is us




「どこ行きたい?」


「んー…そうだなぁ」




質問したはずなのに、私が頭を捻って悩んでいた。



「遊園地とか?」


「ふっ、結城くんから遊園地って言葉聞くと思わなかった」


「なんだよ、それ。女は好きなんじゃねぇの?」



私に向けられる、その優しい瞳は。


今交わされている会話の一つ一つが。


繋いだ手の確かな温かさも。



全部全部、私だけのもの。


そう思っていいんだよね?



「そうだけどさ〜!結城くんは行きたい所ないの?」


「ん〜…映画とか?」



「あ、いいね。私こないだ公開したアレ見たい」


ただこうして、隣にいられる事がどんなに幸せか。


メールしたり、一緒に帰ったり、笑い合ったり…。



そんな些細な事が、どんなに幸せか。

この時の私なら、分かっていたはずなのに…。

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