This is us




そんな事を考えていると、次の駅に電車は到着していた。


何人か、入口から乗り込んできて…


おばさんが私と彼の間に腰を下ろそうとした時、彼に右腕を掴まれた。



「えっ…」


「すみません、ツレなんで」


ぐいっと引っ張られ、彼の隣に座らせられる私。


瞳を大きく見開いたおばさんは、彼の言葉に


「あら、ごめんなさいね」


と照れ笑いを浮かべて、私の隣にすとんと座った。




「…そんなに離れて座んなよ」



ボソッと彼が眉間にシワを寄せて呟く。


心臓が止まってしまうんじゃないかと、ハラハラしていた私は言葉も出ずに、こくこく頷いた。



「………」


「………」



再び沈黙。


駅を通過していく度に、車内は人で埋まっていく。



相変わらず、彼は下を向いたままで。


何を考えているのかさっぱり。


触れたままの右肩が、温かい。

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