This is us
「お待たせ」
「遅せぇよ」
「えっ…ごごめんなさい」
お前は化粧なんかしなくたって、そのままで充分。
おろおろしている彼女の顔は、綺麗に立て直されていた。
ほんのりピンク色に染まる彼女の頬に視線を向けていた俺は、ぱっと逸らす。
「行くぞ」
「あ…」
やっぱり、冷たい。
小田切の手を引いて、そんな事を思った。
初デートくらい、手繋ぎたいなんて。
俺らしくもない発想。
「ふふっ、結城くんてせっかちだよね?」
「うるせぇよ」
「短気」
「お前はマイペース過ぎ」
俺の体温で、その小さい手が早く温まればいい。
「結城くん」
「ん?」
「プリクラ撮りたい」
ニッコリ笑うこいつが、憎らしく思える。
「却下」
「えー?初デートなんだよ?」
好きだよな…女って。
今まで付き合ってきた女にも、毎回せがまれたけれど。
絶対に断ってきた俺。
今回ばかりは断る事は難しい。
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