This is us



ほぼ全ての窓からは、女子の黄色い悲鳴が聞こえてくる。



「…うざ」


あの窓に群がる女達が、俺目当てなのは嫌でも分かった。


「ほんとうらやましいよ。一人でもいいから俺目当ていねぇかな」


「それ、喧嘩売ってるだろ」


「いやいやまさか!」



結構、いやかなり。

女子達の行動には迷惑している。


廊下ですれ違えば、キャーキャー騒がれ。


机の中や身の回りの物が盗まれたり。


どこから洩れたのか、引っ切りなしに携帯には電話やメールが来る。


ある意味人間不信。


俺の容姿で群がる女に、毎日毎日うんざりで。


俺の中身なんてこれっぽっちも知らないくせに、自分達のエゴで付き合いたがる。


だから俺は、近付いてくる女を片っ端から遊んでやった。


あることないこと、尾鰭がついた噂はかなりある。


否定した所でただの足掻きにしかならないことを知っているから、勝手に何でも言えばいい。


それが、結城 蓮だった。



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