This is us



プルルルル…



電話を持つ手が、カタカタと震えているけれど。


今は息をすることさえ忘れて、ずっと鳴り響く呼び出し音に神経を集中させた。


「…もしもし」


「もっももももしもし!」


結城くんが出た!


一気に心拍数が速くなる。


「あっあの!急にごめんね」



「……誰?」



「え…」



視界が真っ白。


ダレ…?


ワタシ、ダレ?



携帯電話が手から滑り落ちて、床に転がった。



「結城く…ん」



嘘…――



「はっ」


額には汗が滲んでいた。



目の前には、天井が広がっている。


「…あれ…?」



ガバッと起き上がると、毛布がはらりとベッドから落ちた。



夢…?



追いつかない思考回路。

手探りで携帯電話を探し出して、急いで画面を確認する。


「……あ」



待受画面のままだ。


発信履歴には、結城くんの番号は残っていない。



「…バカだ…」



なんで、どうして寝てしまったのか。

それすら思い出せない。


自分で自分に苛立って、仕方なく携帯を閉じた。


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