This is us



「おい、どこ行くんだよ」


「いいから」


いつも以上に今日は強引だな…。

もう抵抗する力さえなく、黙ってついていくことにした。


予鈴が鳴り、教室にいる生徒達は皆、教科書を持って生物室へと向かい始めている。


俺と佐々木だけその群れから外れて、渡り廊下へと曲がった。


佐々木は真っ直ぐ前を向いたまま、何も言わない。


自動販売機の前で立ち止まり、ホットのココアを二つ買って俺に差し出した。



「眠気覚まし…なんつって」


「…サンキュ」


眠気覚ましならコーヒーにしろよ、と心の中で思うけれど。



「もう12月だろ?なんだかんだ2年生もあっという間だな」


佐々木がココアで手を温めながら、歩き出した。


「…そうだな」



廊下を進んで行くけれど、どこへ向かっているのかさっぱり分からない。



「なんかさ、いつもバカやってるけど…そうやってられるのも今しかないんだよな」



始業のチャイムが鳴った。


今の俺達には関係ないけれど。


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