This is us



「何だよ?」


「その…俺だったらね、嫌だなって思うわけよ。好きだから毎日会いたいしさ、いきなりそう言われたって…みたいなさ」



会いたい。


会いたいと思う。



あどけなく笑う彼女を、抱きしめたいと思う。


けれど、その分プレゼントを渡した時に驚いたり、喜んだりする彼女を見たいって思った。



「…俺は、誰かの為に何かするって初めてなんだ」


「そっか…そうだよな。蓮ちゃんがまともに誰かと付き合うなんてなかったもんな」



彼女の為なら、疲れていても面倒臭くてもバイトへ行ける。


そんな不思議な力が、人間にはあるって初めて気が付いた。



「プレゼント何買うか決めたの?」


「いや、まだ決めてない」


「いいよな、幸せそうじゃん!俺もなぁ…」



佐々木はそう言って瞳を細めた。


「なつめだろ?無理だって」


「あーもう、そんなにハッキリ言わなくったって!」


髪をくしゃくしゃに掻きむしって、佐々木は頭を垂らす。


だいたい何でなつめを急に好きになるのか、俺には見当もつかない。


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