This is us



「…小田切…?」



「結城くん…」



私を待っていたの…?



学校から少し離れた所で、突然結城くんが姿を現した。


心拍数がどんどん速くなっていくのが分かる。



ずっと会いたくて仕方なかった人が、今目の前にいる。


嬉しいはずなのに、何でだろう。


全力で走り終わった後のように、息が苦しい。



「どうしたの…?」


「…待ってた。もう帰っちゃったかと思ったけど」



真っ直ぐに私を見る瞳が、不意に逸らされた。


少し痩せたようにも見えるのは、気のせいだろうか。



「…連絡してくれれば良かったのに…」



やっと会えたのに。


二人の間に流れる空気は、とても冷たくて重たい。


.
< 227 / 388 >

この作品をシェア

pagetop