This is us
「…そうだったな」
「………」
枯れた地面を見つめたまま、どちらともなく歩き出した。
「一瞬、分からなかった」
「…え?」
ヒューッと北風が落ち葉をさらって駆け抜けていく。
重なった視線を先に外したのは、やはり彼だった。
「…なんか、暫く見ない間に雰囲気変わんねぇ?」
「…ど、どうかな?」
「俺は…」
ゴクッと唾を飲み込んで、少しの期待を抱いて彼を見る。
「何も飾らないお前が良かった…」
鈍器で頭を強く叩かれたように、衝撃が走った。
目の前が、真っ白に染まっていく。
風の荒々しい音も、枯木が転がる音も…何もかもが遮断されて。
ただ鮮明に色付いた彼は、困ったような悲しいような表情をしていて、私の胸を大きく締め付けた。
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