This is us
Side Ren
「お前…ほんっとーに馬鹿だな」
薄々気付いてはいた。
彼女はアホな挙げ句に、勉強も出来ないということに。
「う…」
握っていたシャーペンの芯がポキッと、渇いた空間に響く。
冬休みに入りクリスマスも兼ねて出かけようという話だったが、あまりに小田切の通知表が悪かった為にこうして彼女の自宅に招かれたのだ。
『結城くん…私本気でやばい。勉強教えてください』
そう電話越しに泣く泣く言った彼女を思い出し、ふっと笑いが込み上げる。
ちなみに今日は誰も家にいないらしい。
…て、別に何をしようなんて考えはないけれど。
「もう駄目だー!頭が働きません」
勉強開始十五分で…。
小田切はそのままローテーブルの上に突っ伏した。そのまま寝てしまうのではないかと思う程、ぐったりとしている。
「はあ…集中力なさ過ぎ」
「だって…勉強嫌いだもん…」
「好きなヤツいねぇだろ」
さらっと長い髪が、教科書を滑って。
彼女は頬に空気を含ませて潤んだ瞳で俺を見た。
鼓動が速くなる。
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