This is us


「何黙ってんだよ」

「へっ?!」


自分が自分じゃないみたいに変な感覚。
前髪や頬や睫毛さえ、自分のものじゃないように浮き立って感じる。


「どうした?」

「う、うううん?どうもしないよ?」


明らかに挙動不審な自分に、恥ずかしさが募った。何考えているんだろう。

「ふうん…」

そう言って彼の腕が私の肩を抱き寄せる。私の頬が結城くんの胸に押し当てられて暖かい。

爽やかなシトラス系の香水がふんわりと鼻腔を刺激した。

ごく自然の事なのに、今にも口から心臓が飛び出しそうなくらい私の胸はバクバクで。


「結城くん…?」

「だからさ…」

耳元で、彼の低い声が鳴る。


「その呼び方、辞めろって」

「だだだ、だって」


恥ずかしい。

恥ずかしすぎる…。


.



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