This is us


「…結城くん、ごめんね」

「何で謝るんだよ」

「迷惑かけちゃって…でもありがと」

繋いでいる手が、より一層強くなるのを感じた。

「迷惑なわけねぇだろ…俺のせいで、お前を傷付けたのに」

「ううん…でも、何で分かったの?」

「あぁ、お前の友達が教えてくれた」

校舎にはもうほとんど誰もいない。

優花が結城くんに教えてくれたんだ。
一人で大丈夫だなんて思っていたのに、結局私はいつも皆に支えられている。


「それより、お前消毒しないと…」

「大したことないって」

「いいから来い」

結城くんは強引に私を保健室へと連れていく。

放課後の保健室なんて、入ったことないけれど。

「…いねぇじゃん」

やっぱり先生は不在だった。
手書きで"職員室にいます"と書かれたボードがぶら下がっている。

「ここ座って」

結城くんは椅子に私を座らせて、棚をこそこそと漁り始めた。

「じ、自分で出来るよ?」

「俺の仕事」

ずっと強ばっていた結城くんの顔が、やっと微笑んで。

胸の鼓動が速くなった私は、黙って従うことにした。


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