This is us
「よっ」
「何だ、来てたのか」
家に帰ると、久しぶりになつめが来ていた。
俺を避けていたのかは分からないけれど、なつめと顔を合わせるのは本当に久しぶりだ。
「何だって何よ。帰り遅かったね?」
「まあな…」
自分の部屋へと階段を上がっていく俺の後ろを、なつめもついてくる。
「さとりちゃんと付き合ってんだね」
その声色は、"あたしがあれ程言ったのに"っていう皮肉な意味が込められているように聞こえた。
「…お陰様で」
「お、珍しい」
「てか、着替えるから。入ってくんなよ?」
なつめは"はいはい"と言ってくるりと踵を返す。
正直気まずいと思っていた。
けれど、幼馴染みだけあっていつも通りに接してくれるなつめに今はありがたいと思う。
面倒だと感じる事もあるが、何だかんだよく理解してくれている。
「そうだったんだ…本当、女子のやることって陰険だよねー…」
飯を食った後、今日の事をなつめに話した。
「まあ、蓮が介入した事によってもう何かされるってのは無くなりそうだね」
「だといいけど」
なつめは雑誌をパラパラ捲りながら安心したように頷いて。
「あ、美里さんの特集だ」
人の話を真剣に聞いていたかと思えば、姉を見つけて突然はしゃぎだした。
モデルの仕事の方が忙しくなり、ちゃんと大学に行っているのか親は心配していたけれど。
生活リズムが逆なせいもあるのか、姉とは最近顔を合わせていない。
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