This is us


「でも蓮が真面目に付き合うなんて初めてじゃない?」

姉の話をしていたかと思えば、さっきの話題に戻る。ついていくのが大変だ。

「まあな…」

「良かったじゃん!今度さとりちゃん家連れて来てよ」

「連れて来たとしても、なつめは呼ばないけど」

そう言うとなつめは頬を膨らませて、ふいっとそっぽを向いて。

「別に邪魔しようなんて思ってないよーだ」

雑誌をパタンと閉じて立ち上がった。

「じゃあ、帰るわ。おばさん達に挨拶してくる」

「おう」

なつめは後ろ手にひらひらと手を振りながら階段を降りていく。

客間にいた俺は自分の部屋へと戻り、放置していた携帯を開いた。

相変わらず知らない番号からの着信やメールが入っていて。

また携帯変えようか、悩むけれど。

さとりからのメールに、そんな事どうでもよくなってしまう。

『今日はありがとう♪今度の週末は部活が休みだからどこか行きませんか?』

彼女からの誘いに素直に嬉しいと感じる。

机の引き出しにしまってあるプリクラに手を伸ばして。

数時間前まで隣にいたのに、もう会いたい気持ちが押し寄せた。


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