This is us
「わー!魚いっぱい!」
小さな子供のように瞳を輝かせて、さとりは水槽に駆け寄った。
青白い空間の中で、滑らかに泳ぐ魚の群れはどこか幻想的で心が落ち着く。
俺はさとりの手をとって、指を絡ませた。
「迷子の呼び出しなんてしたくねぇし」
咄嗟に出てしまう照れ隠し。
彼女は返事の代わりに、ぎゅっと手を握り返してくれた。
相変わらず冷たくて小さい手。
ぐっと縮んだ距離。
たまらなく、愛しい。
水槽のトンネルを二人して見上げてはしゃいだ。シロクマに感嘆の声を漏らし、海ガメを間近で見て、海月の幻想的な世界に魅了された。
イルカのショーを見て水しぶきを浴びて。
エイって可愛く見えるんだって知ったりもした。
さとりと刻む時間。
楽しそうに笑う彼女を見て、来て良かったと改めて思った。
「いっぱい笑ったらお腹空いたね」
「あぁ。何か食うか」
腕時計はもう正午をとっくに越えていた。
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