This is us
ゴンドラの中で結城くんと向かい合う形で座った。
二人きりの空間。
急に沈黙になってしまった。
ゆっくり、地上から離れていく。
「…ふ、二人きりだと緊張する、ね」
「何で?」
結城くんは頬杖をついて、外を眺めている。
私は膝の上に乗せた手が汗ばんできているのを気にしながら。
「何でって…するから、するの」
「ふっ、理由になってねぇじゃん」
結城くんは緊張しないのかな?
私には彼がキラキラ光って見えるのに。
観覧車に乗っていても、カッコいい…
「でも俺、実はさ…」
実は?
突然話始めた彼を、私は穴が空くほど見つめた。
「…高所恐怖症」
「えっ」
そう言われてみれば、組んだ長い脚が震えている。
「今が、ピークだったり、する」
はっ。
ここは頂上だ。
妄想の中では、結城くんとキスをしていたあの頂上に今いる。
「だっ大丈夫だよ!後は下がっていくだけだし」
もはやキスどころではなかった。
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