This is us
私の必死のフォローも虚しく、結城くんは下を向いたまま視線のやり場に困っている。
「観覧車乗ったのガキの頃だったから、今ならいけるかなって思ったけど…ダメだな」
「そっかあ…結城くんの弱点また増えたね」
嬉しくて笑みが零れた。
「多分もうねぇよ」
「そうかなー?まだまだありそうな気がする」
観覧車キスは出来なかったけれど、彼の新しい一面を知ることができて私はお腹いっぱいだ。
彼も同じように思っていてくれたら嬉しいな…
まあ私の場合はただのバカって事しかないかもしれないけれど。
もっと知りたいと思うし、もっと知ってほしい。
「ほら、無事に到着したよ?」
観覧車から降りて、真っ青な顔した結城くんは安堵の溜息を吐いた。
「あぁ」
「どっかで休む?」
「じゃあ、クレープ買ってやるから休んでいいか?」
あ、そうだ。乗り終わったらクレープを食べに行くんだった。
きっと自分の事でいっぱいいっぱいなハズなのに、些細な事を覚えていてくれたことが嬉しい。
「やったー!ありがとう」
再び絡まる手。
少しだけ汗ばんでいるけれど、ニヤニヤが止まらない。
すごく、すごく幸せだ。
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