This is us


私の必死のフォローも虚しく、結城くんは下を向いたまま視線のやり場に困っている。


「観覧車乗ったのガキの頃だったから、今ならいけるかなって思ったけど…ダメだな」

「そっかあ…結城くんの弱点また増えたね」

嬉しくて笑みが零れた。

「多分もうねぇよ」

「そうかなー?まだまだありそうな気がする」

観覧車キスは出来なかったけれど、彼の新しい一面を知ることができて私はお腹いっぱいだ。

彼も同じように思っていてくれたら嬉しいな…


まあ私の場合はただのバカって事しかないかもしれないけれど。

もっと知りたいと思うし、もっと知ってほしい。


「ほら、無事に到着したよ?」

観覧車から降りて、真っ青な顔した結城くんは安堵の溜息を吐いた。

「あぁ」

「どっかで休む?」

「じゃあ、クレープ買ってやるから休んでいいか?」


あ、そうだ。乗り終わったらクレープを食べに行くんだった。

きっと自分の事でいっぱいいっぱいなハズなのに、些細な事を覚えていてくれたことが嬉しい。

「やったー!ありがとう」


再び絡まる手。

少しだけ汗ばんでいるけれど、ニヤニヤが止まらない。

すごく、すごく幸せだ。


.
< 275 / 388 >

この作品をシェア

pagetop