This is us
佐々木は慌てて飲み込んで、大きく肩で息をした。昼飯くらいゆっくり食べればいいのに。
忙しい奴…
「お前にも買ってきた」
「ま、マジで?!」
さっき以上に目を見開く佐々木は、机から身を乗り出してきて。
「お土産ってやつ」
「うんうん!めちゃくちゃ嬉しい!」
そんなに喜ぶとは思わなかった。
さとりに促されてついつい買ってしまったのだ。
"佐々木くんに買っていきなよ。ほら、これなんてどう?"
さとりが選んだのは、カクレクマノミのストラップ。
独特のオレンジと白の縞模様に、ニカッと笑っているカクレクマノミのキャラクターは、確かに佐々木に似ていると思った。
水族館オリジナルの紙袋に入った小さなお土産を、佐々木の両手にのせる。
犬みたいに両手を差し出している様は、なんだか笑えた。
「やったー!開けていい?」
そう聞きながらも開けている。
突っ込むのも面倒だから、黙って頷いた。
「おー!ニモみたいな魚じゃん!なに?俺に似てるってか?」
「そんな感じ」
「嬉しいなあ!じゃあ早速つけよーっと」
佐々木が喜んでいた、とさとりにメールで教えておこう。
「どう?イケてるねー!」
佐々木は結局、昼休みの間に弁当を完食することは出来なかった。
まあ、これもまたいつもの事だ。
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