This is us
「プッ、佐々木くんて面白いよね」
いつの間に隣に並んで歩くなつめが、頬を緩ませる。
「勝手に何やってんだか」
「いい人じゃんっ」
「有難迷惑」
「その言い方ひど〜ぉ」
ついて来るなって言いたいけれど、家が隣だから仕方ない。
なつめもそれを知っていてついてくるから、うざい。
一人になる時間が欲しい。
家から一歩外へ出れば、いつだって誰かが話しかけてくる。
本当嫌になるくらい。
そのうち引きこもりにでもなってしまうんじゃないかと思う。
「ねぇ、来週駅前通りのお祭り行こうよ」
“お祭り”というワードに、ぴきりとこめかみにヒビが入った。
冗談じゃあない。
「ぜってぇ行かね」
代わり映えしない緑の景色を瞳に映しながら、断固として断る。
田んぼ道が真っすぐ空へとのびている。
入道雲がやけに立体的で、蝉の鳴き声が夏の訪れを感じさせた。
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