This is us


優しげな目元が、彼女とよく似ている。

「本当にね、どうしようもないおカバさんで…勉強見てもらえるなんて助かります」


おカバさん…?

「力になれるなら、喜んで」

ペコペコと頭を下げるおばさんに、俺もお辞儀して答える。


「昔っから集中力のない子だから、ご迷惑おかけするとおもいますが…よろしくお願いしますね、先生」

「はい」

先生って、俺の事だよな…

大丈夫か?初めに"彼氏"と言っておくべきだったか。

何だか不安になってきた。
この親にしてこの子ありとは、まさにこの事だと思う。


「変な人でしょ?私のお母さん…」

「いや、面白いな…」

さとりの部屋に入り、ようやくバッグを床に下ろした。

「よし、何から始める?」

数学、英語、日本史、世界史…全部持ってきてある。

「えーっと…」

「じゃあ、前期の期末で一番点数低かったのは?」

「す、数学の…十二点…」

十二点?!

赤点以下…。


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