This is us
「勉強ははかどってる?よかったら先生、どうぞ」
「ありがとうございます…」
トレーを持ったおばさんが入ってきて、俺は慌てて正座をしたりして。
花柄の綺麗なカップが目の前に置かれた。
湯気がたっていて紅茶のいい香りがする。
「次のテストが楽しみねー。じゃあ、ごゆっくり」
「そうだ…結城くんに渡したいものがあるんだ」
おばさんが去った後、さとりは勉強机の引き出しからラッピング袋を俺に差し出した。
「ありがと…開けていい?」
「うん。おきに召すか、分からないけど」
リボンを外して、中を見ると…
「お、マカロンじゃん」
「少し早いけど、バレンタイン。ほら、ちょうど紅茶あるから良かったら…」
「すげ、嬉しい」
バレンタインデーには毎年腐るほどのチョコを貰うけれど、やっぱり彼女から貰えるのは特別なんだと思った。
「もしかして、手作り?」
「や、やっぱ分かる?」
少しだけいびつで、見た目が不揃いだけれど。
茶色いマカロンは、ココアで色を付けたのかチョコを入れたのかとても美味しそうだ。
「うまそう。てか、マカロンて難しいだろ?」
姉貴が何回かチャレンジしたけれど、全て失敗で嘆いていたのを見たことがある。
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