This is us

Side Ren



「あーぁ、結局三年間蓮と同じクラスになれなかったなー…」

帰り道、なつめが桜を見上げて歩きながらぽつりと呟いた。

水色の空に、ピンク色の桜がよく映える。

「別に同じクラスにならなくたって家隣なんだからちょうどいいだろ」

「ふん。まあ、そうだけどさ」


なつめは足元にある小石を思いっきり蹴って飛ばす。

「新しいクラスは楽しい?」


「楽しいって聞かれても、今日が初日だし」


「そうだよね。でもいいじゃん!佐々木くんもさとりちゃんも一緒で」


正直、佐々木と離れたら俺はまた一匹狼になっていたと思う。

まだあいつ以外に友達と呼べる存在はいないし。

さとりと同じクラスについては、良いのか悪いのかまだ分からない。

さとりにとって、プラスになればそれでいいけれど。本川が一癖あるから、厄介だ。

「色々な意味で大変だとは思うけどな」

「蓮がそれだけ罪な男なんだよ」

なつめはからかうように笑いながら言う。

「そんなん女の勝手だろ」

「はいはい、そいじゃまたね!」

なつめの華奢な後ろ姿を見送って、俺も家へと入っていった。



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