This is us
「まぁ…そんな感じ」
何で話しかけてきたのかよく分からずに、答える。
相原は少し躊躇った後、
「ちょっと話たいんだけど、いい?」
と言って空き教室へ促された。
「何?話って」
机の上に浅く座り、相原を見る。
相原は教壇に腕を乗せて、暫く下を向いていたけれど。
「いや、結城とは一回話しておきたいなって思っててさ…」
ぱっと俺を見た相原の顔は、悪びれた感じもなく笑っていた。
「俺さ、こんな事言うのもアレだけど。小田切さんに一目惚れだったんだよね」
「へぇ…」
「ほら、彼女新体操部じゃん?隣で見てて、すごい真面目で…部活やっている時の目がキラキラしててさ」
相原はその頃を思い出しているのか、懐かしむような穏やかな目で遠くを見つめていた。
「けど、祭りの一件で軽蔑したって言うか…まぁ酷いこと言っちゃって、彼女をすごい傷付けた」
その現場、見てましたとは絶対に言えない。
「俺は、彼女がそういう子じゃないって分かってたんだけど。いつも結城の事嬉しそうに話す原の気持ちも知ってたからさ…許せなかったんだよね」
「あぁ、なつめか…」
「それから俺も反省した。けど、今更謝るなんてタイミングもなくて…去年の文化祭でたまたま小田切さんが倒れた時近くにいたから、保健室まで運んだんだ」
そう言えば、なつめが言ってたな…。
外からは、どこかのクラスが体育の授業をしていてかけ声が聞こえてくる。
「そん時に言おうかとも思ったんだけど…やっぱり彼女を目の前にしたら、好きって気持ちがまだあったんだよね。多分嫌われてるだろうし、恐くて逃げちゃってさ。暫くはモヤモヤしてたんだけど…」
そこまで話して相原はチラッと俺を見た。
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