This is us
Side Satori
昼休みが終わる予鈴が鳴るまで、体育館で練習していた私は教室へと歩みを進めていた。
私が先輩達の足を引っ張るわけにはいかない。
あと二日に迫った大会が、ひどく焦燥感を募らせる。
「お疲れ〜」
教室に入ると、優花となっちゃんが机を並べてお菓子を頬張っていた。
「ふぅ〜」
「どう?うまくやれそう?」
優花がポッキーをかみ砕きながら、私を見る。
「うー…まだまだ不安はたくさんあるよ」
「でもさとちゃんすごいよ!応援してるよっ」
なっちゃんが疲れ果てた私にタオルを差し延べてくれた。
「ありがとう。あ、これ新作のお菓子じゃ〜ん!いただきっ」
片手で汗を拭いながら、もう片方の手でチョコレートをひょいっと摘み、口に放り込む。
中から出てきたトロピカルフルーツの甘いゼリーが舌を包んだ。
「ん、うまいうまい」
「あーっ、次実験室だよ!やばっ」
本鈴が鳴り響いて、三人して慌てて机に広がったお菓子を片付けた。
周りにはいつの間に誰もいなくなっていて。
「急げっ」
廊下を走る私達は、きっと誰よりも楽しく笑っていたと思う。
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