This is us

Side Satori



昼休みが終わる予鈴が鳴るまで、体育館で練習していた私は教室へと歩みを進めていた。


私が先輩達の足を引っ張るわけにはいかない。


あと二日に迫った大会が、ひどく焦燥感を募らせる。


「お疲れ〜」


教室に入ると、優花となっちゃんが机を並べてお菓子を頬張っていた。


「ふぅ〜」


「どう?うまくやれそう?」


優花がポッキーをかみ砕きながら、私を見る。


「うー…まだまだ不安はたくさんあるよ」


「でもさとちゃんすごいよ!応援してるよっ」


なっちゃんが疲れ果てた私にタオルを差し延べてくれた。


「ありがとう。あ、これ新作のお菓子じゃ〜ん!いただきっ」


片手で汗を拭いながら、もう片方の手でチョコレートをひょいっと摘み、口に放り込む。


中から出てきたトロピカルフルーツの甘いゼリーが舌を包んだ。


「ん、うまいうまい」


「あーっ、次実験室だよ!やばっ」


本鈴が鳴り響いて、三人して慌てて机に広がったお菓子を片付けた。


周りにはいつの間に誰もいなくなっていて。


「急げっ」


廊下を走る私達は、きっと誰よりも楽しく笑っていたと思う。


.
< 30 / 388 >

この作品をシェア

pagetop