This is us
大会が終わり、部活メンバーで打ち上げをしている最中にお母さんからメールが入った。
『パパが帰ってきたから、今日は早めに帰ってきた方がいいかも』
私のお父さんは今単身赴任で離れた場所で仕事をしていて。
半年に一回家に帰ってくるのだけれど。
漫画に出てくるような、厳しい厳しいお父さんで。
私は途端に憂鬱な気分で、隣にいた優花に耳打ちした。
「ごめん、今日はそろそろ帰るね」
「え?なんで?」
時間はまだ二十時を指す前で、優花は瞳を丸くして聞き返す。
「ちょっと…」
お父さんが厳しいからなんて、年頃の私には恥ずかしくて。何て言い訳しようも頭が回らなく、言葉を濁した。
「まあ…言いたくないならいいけど。気を付けてね?」
「うん、またね」
皆にも挨拶をして、お好み焼き店をそそくさと出る。
小さい時から、お父さんの事が苦手だ。
どう接していいのかも分からない。
今から帰っても、怒られる事はいつも同じ。
―なんで、こんなに勉強ができないんだ
元々勉強は嫌いだったけれど、高校に入ってから反抗するかのようにますます勉強しなくなった。
合格は難しいと言われていたこの高校を、受験したのは私の意地でもあって。
―合格して当たり前だ、西高なんて
合格を喜んでくれたのはお母さんだけ。
家に帰る途中、嫌な事ばかりが浮かんできて涙が溢れてきた。
誤魔化すように空を見上げると、星がキラキラと光っていて。
それでも涙は堪えきれずに頬を伝った。
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