This is us


「…ただいま」

玄関で靴を脱いで、揃える。
大きな革靴がきちんと揃えて置いてあったのを見て、お父さんがリビングにいるんだと思うと、そんな作業さえもゆっくりになって。

「おかえり、さとり。大会はどうだった?」


「うん、まぁ…うまくできたよ」

「そう。夕飯は?食べたの?」

お母さんはわざわざ出迎えて、私の荷物を持ってくれた。

「食べてきたからいいや…」

「そう…。お父さん、さとりに話があるみたい…」

「うん、着替えたら行く」


私はそのまま自分の部屋へと入り、深い溜息を吐いた。

なんとなく、予想はできる。

受験生だもの。今日はきっといつも以上に手強いモンスターだ。

装備はしっかりしていこう…

回復剤は…ない。モンスターが家にいる時点で既に私のHPは半分ダメージを受けている。
瀕死になった時にきっとお母さんが甦りの呪文を唱えてくれる事を信じて、私は部屋を出た。


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