This is us


「部活なんて今すぐやめなさい」




その言葉で、頭の中が真っ白になった。




「パパ、それは可哀想でしょ?さとりだって今まで頑張ってきたんだから…」


お母さんの甦りの呪文なんて、全然効かない。

テーブルに置かれた紅茶が、湯気をたてていて私の鼻にツンと染みた。

「だいたい新体操なんて高校に入って始めて、中途半端だろ?運動部なんかに入るから結局こうなるんだ」

―チュウトハンパ

目の前がゆらゆらとぼやけて、よく見えない。

「そんな事言ったって、さとりは副チャプテンなのよ?」

副チャプテンて何?副キャプテンじゃなくて、副部長だよお母さん…。

私の手の甲に、大粒の涙がポタポタと落ちた。

「そんなの何の肩書きにもならない。今すぐ退部しなさい、さとり。聞いてるのか?」


私が今まで築き上げて、努力を重ねて、全力で頑張ってきた新体操を辞めなければいけないなんて。

「…さんに、お父さんに私の何が分かるの?!いつも家にいないくせに!私がどんな思いで部活をやって…どれだけ練習してきたか…」

「辞めろって言ってるんだ!聞こえなかったのか?!」

私の叫びが、お父さんの怒鳴り声で遮られた。


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