This is us


「絶対に辞めない!」

私はお父さんを強く睨んで、リビングを出た。


知ってるんだ…

お父さん、本当は息子が欲しかったって。
お母さんと二人で話しているのを、聞いてしまったんだ。

もうずっとずっと昔の事だけれど。


涙が止まらない。

私は、出来損ないのいらない子なんだ。


次の日、言うまでもなく目が腫れていた。
大会も終わり、土日は部活がない。

でも両親がいる家には居たくなくて、私はそそくさと家を出た。

行く所もないけれど…。

空はこんなに晴れて澄んでいるのに、私の心はちっとも晴れない。

深いモヤモヤに覆われたまま。

近くの公園に辿り着き、ベンチに腰を下ろした。


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