This is us
携帯を握りしめて、どうして今日何も予定を入れなかったのか後悔しても遅い。
結城くんは風邪だし、優花は一日寝てると言っていた。なっちゃんは部活だし…
土曜日の公園には、小さな子供達がたくさん集まって、遊具で遊んだり追いかけっこしたりしている。
まだまだ一日は長い。
お父さんは一度言い出した事は絶対に曲げないから、部活を辞めなくていいなんて言ってはくれないだろう。
天地がひっくり返っても、絶対に。
勉強しなかった自分は確かに悪いけれど、それは部活のせいじゃない。自分自身の問題だ。
「さとり、こんなとこにいたの?」
突然後ろでお母さんの声がして、驚いて振り返る。
「お腹空いたんじゃない?」
「…別に、大丈夫」
お母さんも私の隣に腰を下ろした。
二人して無言で、ただ公園の景色を眺める。
隅っこにある大きな桜の木は、もう緑の葉をつけ始めていて。
季節が巡っていくのは早いな…とぼんやりと思った。
「辞めなくたっていいよ、新体操」
お母さんは、包み込むような優しさでポツリと言う。
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