This is us


俺は少しイラッとしたけれど、勉強机の椅子に座りなつめを見た。

「…で、話したいことって?」

なつめは視線を逸らして、少し考えた後真面目な顔で口を開く。

「いちお、報告なんだけど…」

「あたし…」


そこまで言って言葉を濁すなつめに、もどかしさを感じながらもじっと待つことにした。

苦し紛れにテレビの電源を入れようか迷うけれど、なつめから出る雰囲気がどことなくいつもと違う。

「何?」

結局急かしてしまった。自分の悪い癖でもある。なつめは一度深く深呼吸をして、俺を真っ直ぐ見つめた。




「相原と付き合うことにした」



そう言ったなつめの顔に、少しだけ笑みが広がる。

俺はかける言葉を必死で探していた。



.
< 331 / 388 >

この作品をシェア

pagetop