This is us


「自分次第だよ。パパだって、さとりの事心配してるんだから」

心配してる?何を?

私は何も言わず、カウンター越しにいるお母さんの側に行って、出来上がった野菜炒めをテーブルに運んだ。

「さとりが苦労や後悔をしないようにって、思ってるの」

私はまだ子供で、この時のお母さんの言葉もお父さんの気持ちも全く理解していなかった。

「そんなの、思ってるわけないじゃん」

私は目の前の世界しか見えていないんだって。


「パパ、さとりの誕生日にまた帰ってくるみたいよ」

「…別に、嬉しくないよ」


誕生日に説教なんて、絶対に避けたい。
お母さんは私とは裏腹に楽しそうに笑っている。

五月三日は何が何でも絶対に予定を入れなければ…そう思って壁にかかっているカレンダーを見ると、ちょうど誕生日は土曜日だった。

と同時にゴールデンウィークに入るのだ。

お父さんも休みをとって帰ってくるだろうし、私はほとんど部活になる。

「とにかく、しっかり二人で話し合う事!」

浮かない顔で夕飯を食べる私に、お母さんはキッパリと言い切った。

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