This is us


「もしかして最近あたしとばっかりだから、悪いことしちゃったかなって気にしてたんだ。何もないなら良いけど」


えもちゃんは安堵の溜息を吐いて、次の授業の準備を始めた。

優花と全く話さないわけではない。
ただ、何となく…本当に何となくだけど、三人の輪に入りずらくて。
どうしても前の席のえもちゃんに話しかけてしまう。
えもちゃんにも仲良い友達グループがあるけれど、移動するのが面倒らしい。

次は移動教室だから、えもちゃんは教科書やノートを抱えて友達の方へと行ってしまった。

私も準備をして、優花とふと目が合う。

「さとり、行こう?」

「うん」


いつも通り。
ホッとして優花の側へと歩み寄る。
気にすることなんてない。ほんの少し感じてしまった蟠りは、自分の考えすぎだと言い聞かせて。

「今日先生と面談だよー…やだなぁ」

「でも来月は三者面談あるじゃん、ちゃんと決めてかなきゃね。特にさとりは」

「やっぱそうだよねー…」

優花と他愛のない会話をして、笑う私。


全然気が付いていなかったよ。
結城くんや優花との間に出来ている溝。

いや、気が付いていないフリをしていたのかもしれない。


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